害のない人間が一番得をする。

何にもしたくないけどしてる感は出していく

万年先を行く智謀とロイヤルティ

 うちの会社は毎月月初に大きな会議がある。

 社長自ら壇上で話をする。今の会社の状況や変化、何を目指すかなどの指針の話。各部署の長も前月の結果と今月の目標などの話をする。前月の表彰もある。各部署の持ち回りで余興のようなものもある。毎月のお決まりイベントのようなものだ。

ぼんやり見て、たまにウトウトして終わる

 そして一般社員からしてみたらどうでもいいイベントでもある。

 いや、むしろ面倒なイベントだ。わざわざ本社会議室に行くのも面倒だし、半日もかかって参加するくらいなら別の仕事していたい。本当に行きたくない。

 

 何といってもキャンペーン月になるともうひどい。

 うちの社は年に数回「獲得キャンペーン」と言う名の「ノルマ月」があるんだが、営業課はインセンティブが付くのでこの月に獲得見込みを合わせてきている。話によると年の利益の結構な部分をこのキャンペーン月の獲得で出しているそうで、この月コケると年間損が出てしまう可能性があるという恐ろしい仕組みだという。

 

 ただ、営業以外の課は別にインセンティブなんかないし、むしろ営業課の1/5以下の手当がつく程度で手間の方がかかるのだ。そんなんわざわざプライベートな時間使って営業なんかするかよ。馬鹿らしい。

 

 それでもノルマは課される。

 部署に対するノルマだが、実質社員数の均等割だ。罰はないが毎日上長から見込みと進捗聞かれるし報告が必要。社員はノルマをクリアすると報告リストから消えていく。ノルマをこなせずリストに残っていると、残り人数が少なくなればなるほど気まずくなる仕組みになっている。

頑張ってるフリをいつもより分かりやすく

 社員にとっては最高に面倒なノルマ月にも関わらず、毎回社長が無駄に張り切るのも止めて頂きたい。意味の分からない同業他社との対抗イベントとかを作ってくるのもだ。他部署との対抗心を煽るようなこともだ。意味ないし本当に面倒なんよ。やめてくれよ…マジで。

 

 そもそも「他社・他部署との対抗戦」が成り立つのは

  1. 見合ったインセンティブがある
  2. 会社や部署に愛・感謝・恩がある
  3. 仕事にプライドを持っている
  4. 負けると罰がある

などの背景が必要ではないのかと。対抗戦ってさ、相手に負けたくない理由があるから負けまいと頑張るんじゃないの?そして「負けたくない理由や背景」がある前提でうちらのこと壇上から煽ってくるけどさ…

 

 私には背景・メリット何一つないんだけど、それで何で言うだけで頑張るって思うの?引くだけなんだけど?

 

見返りなしの愛社精神?ねーよ

 キャンペーン月の会議で社長が「他支社には負けたくない!」「本社のプライドがある!」「去年のリベンジで…」「1位を目指して!」とか壇上でテンション高く言ってるのをさ、みんな「はいはい、また始まったよ…」って白けた目で見ているの分からないのかな。見えないなら見せてあげた方がいいよ、もしくは教えてあげなよ。

マジで頭悪そうに見えるから。

 

 社長の鼓舞だけで社員が動いていたのなんかいつの時代よ。

 その時代だってちゃんと相応の給与的な見返りや立場・年功制役職の獲得・終身雇用の安定があるから頑張っていたんだよ。そんなの何もない現代で何やってんだよと。そこそこ名のある企業でさ、退職金もないんだよ?潤ってるの会社と上層部だけじゃん。一般社員は何一つ恩恵がないのに「我が社のために!」とか思うわけないじゃん。あほらし。

 

 それとも、なんなの?うちの社長はオーバーロードのアインズ様みたいに万年先をお考えなの?一社員の考えなど遠く及ばない崇高なお考えをお持ちでいらっしゃるの?うちにはデミエモンみたいな社員はいないけど大丈夫?

「この件、私の心の内に留めておきます」

 

 そんなこんなで今月ノルマ未達成でちょっと気まずくなるくらいなら我慢するさ。「仕事中は気配を消して一か月やり過ごす組」に所属して、仕事終わったら仕事のことなんかすっぱり忘れて家でアニメ見るわ。

 

 あ、忘れてたけど。

 ロイヤルティとは、従業員の自社に対する愛社精神や忠誠心、帰属意識とかその度合いの強さのことらしいよ。おいしい高級なお茶みたい。